歯が無いと入れ歯だけ掃除をして入れ歯よいと思う方もいるかもしれませんが、歯が無くてもお口の中を清掃することは大切です。
お口の中の細菌が増えると、身体に影響を及ぼすことも。
そこで今回は歯が無い方の口腔ケアの大切さとケア方法について詳しくご紹介します。
【歯が無い方も口腔ケアが大切な3つの理由】
- 誤嚥性肺炎の可能性がある
入れ歯を使用していると、歯ぐきの間に汚れが付着します。
入れ歯だけ清掃しても、歯ぐきに汚れが残ったままだと、汚れをエサにして細菌が増殖してしまいます。
お口の中の細菌が増えると、血管をめぐって各臓器に炎症を引き起こしてしまうことも。
入れ歯の方がお口の中の清掃を怠ってトラブルになりやすいのが「誤嚥性肺炎」です。
誤嚥性肺炎は、食べ物や飲み物をうまく飲み込むことができず、気管支や肺に入ることがきっかけで、誤嚥性肺炎を引き起こしてしまいます。
誤嚥性肺炎は抗菌薬を用いた方法で治療しますが、口腔内が汚れていると、また繰り返してしまいます。
そのため、治療のためには、薬を使用した方法と口腔内のケアを丁寧に行うことが大切です。
- 唾液が減って免疫力が低下する
加齢や歯ぐきに刺激が伝わらないと唾液が減少します。
特に入れ歯の場合には、天然歯に比べてしっかり噛む機能が低下しています。
そうすると、唾液の分泌量が減ってしまい細菌が増えやすい環境になってしまいます。
また、唾液には細菌に対抗する「抗菌作用」があるのですが、その効果も減ってしまうのでお口の中が不潔になりやすくなります。
唾液の分泌を促すには、歯ぐきに刺激を与えることが必要で、やわらかい歯ブラシなどで汚れを優しく落としましょう。
- 入れ歯が合わなくなりやすくなる
全て歯を失って、入れ歯になると、顎の骨に刺激が伝わりにくく顎の骨が痩せてしまいます。
入れ歯は粘膜に吸着させて使用するのですが、顎の骨が減ってしまうと歯ぐきの盛り上がりが少なくなるので、入れ歯が安定しにくくなります。
【総入れ歯の方の口腔ケア方法】
・使用するデンタルグッズ
総入れ歯を外した時は、歯ぐきだけの状態になっています。
歯を磨いていた時の歯ブラシでそのままの力で磨くと粘膜を傷つけてしまう可能性があります。
そのため、歯ブラシを使用する際にはやわらかいものを使用して優しい力で磨きましょう。
また、舌専用の舌ブラシや先端がスポンジになっていて粘膜に優しいものもあります。
そのほかには、介助する方がやりやすい指にまきつける口腔用のウェッティーもありますので、使用しやすいものを選びましょう。
・口腔ケアの注意点
加齢などで唾液が減少していると、粘膜が乾燥しやすくなっています。
乾燥している状態でそのままケアをすると粘膜を傷つけてしまうことも。
また、汚れも落ちにくくなってしまいます。
ケアをする前にお口の中が潤っていることが望ましいので、うがいをしてからケアをしたり、保湿ジェルでマッサージをしたりするなどの工夫をしましょう。
マッサージをすることで、粘膜が刺激されるので、唾液の分泌も促すことができます。
粘膜の清掃をする時には、スポンジやウェッティーなどを使用して優しく粘膜を拭いましょう。
舌ブラシも強く当てると、舌の粘膜を傷つけて汚れがつきやすくなってしまうので、あまり力をかけずに優しく行いましょう。
【まとめ】
総入れ歯になっても、歯ぐきに汚れがついていると、細菌が増えてトラブルを引き起こしてしまいます。
そのため、粘膜の汚れもきれいに落としましょう。
ただし、加齢などでお口の中は乾燥しやすくなっています。
口腔ケアを始める前にお口の中が潤った状態になってからスタートしましょう。
歯が無い状態でもお口の中を清潔にしておくことは大切なので、毎日のセルフケアを行ってくださいね。